医師一家の生前対策

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相続破産の危機

医師の子VS非医師の子で遺産分割バトルが勃発

病院を継ぐ子は資産を多く相続したのに、本当は他の兄弟より不幸せ?

 開業医の相続で起きやすい問題として、「医師である子と非医師である子との間で、遺産分割に偏りが出やすい」ということがあります。

 医療法人が持つ資産には、医師である子が持たないと意味のないものが多くあります。出資持分にしても、病院の設備や機器にしても、非医師の子がもらっても使い道がありません。そのため、どうしても医師の子の遺産分割が多くなる傾向にあります。

 すると、非医師の子は「なぜ同じ兄弟なのに、自分は少ししか遺産をもらえないのか」と不満を抱きやすくなります。事前に親が事情や理由を説明し、非医師の子に納得させていればいいですが、何の説得もなしに一方的に少ない遺産を押し付けられたら、たいていの子は反発します。

 相続では、法定相続人に遺留分が認められています。法定相続人とは、法的に相続する権利を持つ人です。遺留分とは、法定相続人の権利を保護する目的で、「最低限これだけはもらえる」という遺産の割合を決めたものです。

 医師の子と非医師の子で、もらう遺産の額に10対1の偏りがあるとなると、非医師の子は相続の権利を大きく侵害されていますから、遺留分の請求をすることができます。これを「遺留分の減殺請求」といいます。すると、医師の子は自分の財産から、非医師の子の遺留分を満たす分だけお金を渡さなくてはなりません。相続財産を多くもらった者から少なくもらった者へお金を渡し、遺産分割の偏りを少なくすることを「代償分割」といいます。「医師の子はいっぱい遺産をもらったのだから、非医師の子にあげるのは当たり前。それくらいのお金はもらっているでしょ」と思うでしょうか。実は、ここに落とし穴があります。

 医師の子がもらう遺産というのは大半が出資持分で、これは換金できません。また、医療機器や病院の土地建物などがあったにせよ、これらは基本的に法人の持ち物になっていますから、子の自由にはできません。

 そもそも代償分割というのは、多くもらった相続人が〝本人のポケットマネー〟から支払わなくてはなりません。「相続でもらった財産から代償金を払えばいいや」と思うかもしれませんが、それは故人のお金であって、本人のポケットマネーではないので、代償金としては使えないのです。その結果、遺留分を支払いたくても支払えないという事態が起こり得ます。

 こうした事態を避ける予防策としては、生命保険が大いに役立ちます。詳細は省きますが、生命保険を正しく活用できれば、遺産分けの揉めごとの多くは解決することができます。

 開業医の相続では、「遺産分割の偏り」で揉め、「代償分割ができないこと」で決着が遠のきます。つまり、遺族間で遺産相続バトルが起こってしまうと、十中八九、丸くは収まりません。

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