医師一家の生前対策

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円満相続のために

遺産分割について知る

人が亡くなってもっとも困る問題のひとつ、それは“誰がどの財産を相続するか”ということ。生前の話し合いも十分必要ですが、遺産の分割方法を理解していれば、その話し合いで家族への深い理解を求めることができるはずです。

遺産をわける4つの方法

 相続でもめる事柄の代表は、どんなことか想像がつくでしょうか。みなさん、よく聞かれることもあると思いますが、被相続人が亡くなった後、遺産を分割するときにもっともトラブルが発生しやすいのです。遺言書が残されていて、法律に則ってしっかりと被相続人の遺志が示されていたとしても、もめるときはもめてしまいます。「誰が多くもらった」「分配が不公平では」というようなもめごとを、事前に防ぐためにかかせないのはやはり“コミュニケーション”――生前にきちんと話し合っておくことが大事です。しかし、そもそも資産の遺し方にどのような方法があるかを判っていないと、話し合いすらできないのではないでしょうか。基本的な分割方法を理解することで、自分を取り巻く状況に適した相続が考えられるようになる可能性が高まることは確実といえます。

  遺産の分割方法は、4つです。「現物分割」「共有分割」「換価分割」そして「代償分割」です。それぞれ、詳しい内容をみていきましょう。

現物分割

もっともポピュラーな遺産分割方法が、被相続人が所有した財産を相続人に分配していく現物分割です。たとえば自宅は配偶者に、長男には病院、長女には車と生命保険金を……という具合です。不動産などかたちある財産はそのまま遺すことができる点がメリット。ただし「あいつだけなんであんなに相続しているんだ?」という不満がでて、考えていた相続分通りの分割ができず、争いの火種になってしまうことも考えられます。

共有分割

共有分割とは財産の一部、または全部を相続人全員が共同で所有する方法です。たとえば、家族全員で被相続人の病院を相続し、共同に所有しよう、というイメージです。一見、公平な相続ができるため、平和的解決を迎えそうにみえますが、それは短絡的というもの。そのときは、丸く収まるかもしれませんが、利用や処分が個人の判断では行えないため、利害関係が複雑となり、新たな相続が発生したときや、その前の段階でも、もめてしまう可能性も少なくありません。

換価分割

財産を売却し、換金してから分割するのが換価分割です。現物分割が難しい場合などで、資産を売却し、補てんするために使われます。たとえば、長男と長女の分割の差を埋めるために、車を売却した分をプラスアルファで渡すといった例です。ただし、財産の現物が残らない、売却の手間や費用、税金が余計に発生する等、じつはデメリットが多くなりがちの分割方法ともいえます。

代償分割

長男が病院やその他の現物がある財産を相続・所有し、他の相続人には相続分の差額を金銭で支払う、といった方法も可能です。これを代償分割と呼びます。医師のように遺産の内容が、不動産や事業用資産に集中するような場合に有効な手段です。ただし、差額分を代償する資産、新たに税金を納めるが必要が発生することもあります。

以上が、遺産分割の方法になります。遺言書に、どのような方法を取るかを記しておけば残された家族間で争いが発生し、人間関係がギスギスするというリスクは最低限、避けられるのではと考えられます。

相続人同士の話し合いで解決しても問題なし

 余談になってしまいますが、遺産分割方法をきちんと定めていなかったり、遺言書に納得ができない。という相続人がいた場合にはどうなるかも、お話ししておきましょう。

 続の準備ができていなかった、相続人の誰かが不服を申し立てたなどの際には、遺産の分け方を話し合う遺産分割協議を行います。必ず相続人全員参加して話し合い、不公平が生じないようにするのです。どのような分割方法を取るのかなど、相続人全員での協議が成立すれば、それで終わり。話し合ってまとめ、相続人全員が合意したことを明確にする遺産分割協議書を作成し、後になって「やっぱり、不満がある」「そんな話、聞いていない」といいだし、さらにトラブルが発生しないように記録として残します。

 ちなみに、遺言書のありかを伝えずに被相続人が亡くなってしまった場合、遺産分割協議書作成後に、遺言書がみつかるという可能性も考えられます。その際には、基本的には遺言書の内容が優先されます。しかし、相続人が全員納得するのであれば遺産分割協議書を採用しても問題はありません。そういった事態にならないためにも、きちんと遺言書の所在は明らかにしておいたほうが無難でしょう。

 しかし、いつまでたっても話がまとまらずに、遺産分割について決着がつかないということも考えられるのです。その場合には、家庭裁判所に間に入ってもらい「遺産分割調停」を行わなければなりません。

 資産が多くなる医師だからこそ、遺産分割方法をきちんと理解し、周囲に説明しなければなりません。それができれば、相続が“争続”に代わる心配はありません。自分たちに適した方法を選択することがとても重要なのです。

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