オーナー社長のための収益物件活用術 会社の経営安定、個人資産を防衛

第1章収益物件の利益最大化で
副収入を得ながら節税も実現する

「投資回収線」と「物件価格推移線」で考えれば失敗はない

 収益物件の活用では、物件を取得し、管理運営をして最後に売却するまでの一連の活動を経て、利益が出るか出ないかが確定します。そして利益とは、「売却金額-取得金額+収入-支出」であることを述べました。

 この数式をわかりやすく図式化したのが次ページの「損益判定グラフ」です。グラフの縦軸に価格である原価を、横軸に時間を取ります。

損益判定グラフ

 では、グラフの見方を説明しましょう。例えば、物件を1億円で取得します。取得時点の原価は1億円です。時間が経つにしたがって原価は下がっていきます。これは、毎月賃料収入を得ることで取得原価が下がるからです。

 例えば、7年間で2000万円の純収入を得れば、原価は8000万円になります。この場合の純収入とは、賃料収入から経費(管理費や修繕費、固定資産税など)を控除し、利益に対する法人税や所得税を引いた後の手取り収入です。純収入を早く多く得られることで原価も早く下がっていくため、利益を最大化しやすくなります。

 この原価が下がっていることを表すのが右下がりの投資回収線です。時間が経つにしたがって投資回収が進み、最終的には投資した1億円をすべて回収します。これが投資回収ポイントとなります。その後にさらに物件を所有し続ければ、すべて利益となります。

 次に見るべきは、取得した物件の市場価格がどのように変化していくかということです。投資回収線と物件価格の推移の両方が、損益を判定するのに必要になります。

 収益物件の価格は、グラフのBのようになだらかに下落していくのが一般的です。現在の日本では築年数の経過とともに賃料が下がっていきます。賃料の下落に伴って賃料収入が減少しますので物件価格も下がるからです。賃料の落ちるペースは物件によって異なります。

 また、物件価格は際限なく下がっていくわけではなく、あるポイントで止まってそのまま推移します。下落がストップするのは土地値です。一般的に不動産の価格は物件価格に占める土地の価格を下回ることはありません。ですからAのように価格の下がらない物件は、物件価格に占める土地値の割合が大きい物件といえます(このような物件を「土地値物件」といいます)。逆にCのように価格が大きく下がる物件は、土地値の占める割合が小さい物件といえます。

 7年間で2000万円を投資回収した物件の原価は8000万円です。7年後の時点で、この物件を売却するとします。8000万円で売れればこの投資による損益はプラスマイナスゼロとなります。1億円で売れれば2000万円の利益、6000万円でしか売れなければ2000万円の損失です。

 Aのように物件価格が下がらない、もしくはBのように下がり幅が小さい物件は利益の出やすい物件です。逆にCのように物件価格が大きく下がってしまう物件は、たとえ順調に投資回収していっても、最終的には損失が出てしまう物件です。

 物件価格が投資回収線を下回らないように、価格が下がらない物件で早く投資回収する。これが、売却までを考慮した収益物件活用の基本的な考え方になります。

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