オーナー社長のための収益物件活用術 会社の経営安定、個人資産を防衛

第3章収益物件活用で得られる絶大な節税効果

生命保険、オペレーティングリースとの比較

 フローの節税ツールとしての収益物件の活用法を説明してきました。ここでは、一般的な節税ツールである生命保険とオペレーティングリースとの比較を見ていきたいと思います。

 まず、結論からいえば、どちらが良い悪いということではありません。それぞれに長所・短所があり、目的に応じて使い分ける、もしくは併用することでオーナー社長の資産をより効率よく守ることができるということです。

【生命保険】

 まず、生命保険ですが、こちらは言わずと知れた節税商品の王道です。特に節税効果の高い逓増定期保険は人気です。

 生命保険に関しては、節税という目的はもちろんですが、保険という名のとおり、イザというときの保障の役割があります。掛け金以上に、イザというとき(お亡くなりになったとき)には保障を受けられます。これが収益物件やオペレーティングリースと比較したときのメリットです。

 ただし、収益物件も団体信用生命保険を掛けることで、死亡保障の代わりにすることは可能です。また、節税という点でいえば、収益物件と違って借り入れができないということが生命保険のデメリットになります。次ページの表のように1000万円の保険料を支払う場合は1000万円キャッシュアウトし、かつ経費(損金)化できるのは半分の500万円のみです。

 また、益出しの時期を操作できないというのも、収益物件と比較した場合のデメリットです。一般的には返戻率の高いタイミング(図では5年目)で解約返戻金を受け取ることになりますが、返戻率が高くなるタイミングは、あらかじめ商品設計に組み込まれています。そのため、オーナー社長の都合ではなく商品設計上のタイミングで解約時に利益が出るので、本業の赤字と相殺するといったコントロールが難しく、その際の税金対策を考えなければいけなくなります。退職金の支払いにぶつけたりすることもありますが、収益物件に比べると自由度は劣ります。

 つまり、収益物件のように本業が赤字の年なら売却して利益を相殺する、黒字の年なら減価償却で利益を先送りする、といった融通が利かないということです。

 なお、生命保険は法人での損益通算は可能ですが、個人所得との損益通算はできません。

【オペレーティングリース】

 生命保険と並んで代表的な節税商品に、匿名組合を利用したオペレーティングリースがあります。以前はレバレッジドリースといわれて、掛けた金額以上の償却が取れたのですが、現在は税制改正により掛けた金額までの償却金額となりました。それが名称変更の理由です。

 こちらは、一般的には3000万円程度から投資できる商品です。減価償却を利用した節税の仕組みは、収益物件と同様と考えてください。航空機などを共同で購入し、購入金額を減価償却費として経費化することで節税(税の先送り)をします。

 メリットは、一度で大きな金額を節税できることです。一般的には初年度に投資額の7〜8割が損金として計上できます。

 デメリットは、生命保険と同じように原則は借り入れができないこと、益出しのタイミングをコントロールできないことが挙げられます。オペレーティングリースの場合、投資の期間が商品ごとにあらかじめ決定されていますので、好きなときに現金化することができません。つまり資金が一定期間、固定化されてしまうわけですが、冒頭から述べているように経営環境の変化によって、いつ現金が必要になるかわからないオーナー社長にとっては、決して小さくないデメリットではないでしょうか。益出しのタイミングは通常10年ほど先です。比較的長い期間キャッシュが寝てしまい、益出しのタイミングで大きな利益が出るため、その後の調整が難しくなるのです。

 その他、為替変動リスク、リース物件の全損リスクなどもあります。また生命保険と同様、損益通算できるのは原則として法人の場合のみです。

【収益物件】

 ここまでのおさらいになりますが、これらの節税商品と比較すると、収益物件は借り入れができること、つまりキャッシュアウトを伴わずに減価償却による経費計上ができることにメリットがあります。

 また、益出しのタイミングも自由に設定できます。不動産の相場や保有期間、会社の経営状況を考えながら、自由に売却の時期を設定可能です。そうすることによって利益をコントロールすることができるのです。

 さらに、法人のみならず個人においても所得と損益通算できるという点も忘れてはなりません。個人の所得と損益通算できるのは、収益物件ならではの利点です。

 一方デメリットとしては、保険やオペレーティングリースに比べれば、管理会社に任せるとしても管理運営に手間がかかるということや空室などにより賃料収入が一定ではないという点が挙げられます。また流動性も保険やリースと比較して落ちるといえます。

 それぞれにメリット・デメリットがありますので、特徴をよく把握して併用するのがオーナー社長にとっては重要です。

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