第4章優良な収益物件を取得する方法
目的別 物件選びのポイント
先述したように、収益物件活用の目的は大きく分けて4つです。以下、それぞれの目的別(節税はフローとストックに二分)に、最適な物件のタイプをお話ししていきます。
副収入としての活用
副収入としての活用であれば、利回りが高い物件が対象になります。利回りが高い物件は都心部には少ないので、必然的に都心部からの距離は遠くなります。また、築年数の浅い物件では高利回りは得にくいので、築年数の古い物件が対象となります。
古い物件は、当然空室のリスクも高くなりますが、空室リスクは管理運営を工夫することで回避できます。
また、税引き後のキャッシュフローという点からは減価償却を多く取れる物件を選ぶ必要があります。そのためには不動産の購入価格に占める建物比率(価格)を高める必要があり、売り手側との交渉が大切になります。
POINT地方・高利回り・築古・建物価格を大きく(減価償却を有効に使うため)
貯蓄としての活用
副収入としての活用と並行して行えますが、イザというときに換金できることが条件になりますので、まずは物件の流動性が高いことが必要になります。流動性が高い物件イコール都心部にある(近い)物件になりますので、必然的に利回りは低くなります。
また、売却時に価格が下がらないということも重要です。そのためには賃料下落の少ない物件もしくは土地値の占める割合の大きい物件を選ぶ必要があります。
POINT都心・土地値・賃料安定
団体信用生命保険としての活用
生命保険としての物件の活用は、基本的には他の活用法と併用されるものです。例えば、副収入を得ながら、イザというときの場合に団体信用生命保険にも入っておけば2つの効果が両立します。
この場合、物件選びというよりは団体信用生命保険を付けてくれる金融機関から融資を受けることがポイントになります。すべての金融機関で団体信用生命保険の対応をしているわけではないからです。
そして、金額としては通常ひとつの金融機関につき1億円が上限となりますが、いくつかの金融機関においては3億円まで団体信用生命保険を掛けることが可能です。
POINT団信に対応している金融機関を選ぶ・3億円まで団信を掛けることも一考
節税(フロー)としての活用
フローの節税としての活用においては、減価償却を「大きく」「短く」取ることが唯一のポイントになります。
まず「大きく」という点に関しては、物件そのものというよりは、売り手側との交渉のなかで建物比率(価格)を大きくしてもらえるかということが問題になります。先述したように、自分だけで建物の価格を決められるわけではないからです。
原則的には、第三者(親族間やオーナー社長と社長個人間のような場合ではなく他人同士の取引)の売る側と買う側が合意した金額が、いわゆる市場価格となります(ただし合理的な範囲内での金額)。
次に、「短く」という点では、法定耐用年数を超えた木造や軽量鉄骨造のアパートが最適です。建物のなかでは最短の4年間(軽鉄の場合5年間)で全額償却することができます。
また、先述のとおりRC造の物件においては、本体の償却期間は長いものの、設備を分けることで購入当初の3年間は償却を大きく取ることができます。
ですから、建物価格を大きく取れるよう売り主と交渉するとともに、設備を本体と分けてくれるよう交渉する必要があります。この場合の設備の金額は、おおよそ建物金額の10〜20%を目安にし、売買契約書に明記する必要があります。
POINT建物価格を大きく(減価償却)・木造で築22年以上 RC造もしくは鉄骨造の場合は設備と本体を分ける
節税(ストック)としての活用
相続財産を減らすという目的なら、時価(市場価格)と評価額のギャップを大きく取れる物件を選ぶ必要があります。
時価とは市場で売買される価格であり、評価額は行政が定める路線価や固定資産税の評価額です。
一般的にこのギャップが大きいのは都心部の物件です。不動産の市場価格が高くなっている状況においては、特にギャップが大きくなります。
銀座の土地の売買価格が路線価の3、4倍になったというニュースを目にした方もいると思います。まさにその3倍、4倍こそがギャップであり、そうした不動産を買えば、相続財産の評価を3分の1、4分の1にも圧縮できるということです。
逆に地方都市の物件は時価と評価額の差が取りにくい、もしくは逆転してしまっているケースもあります。
POINT時価と評価額の差が大きい(都心部の物件等)