オーナー社長のための収益物件活用術 会社の経営安定、個人資産を防衛

第7章事業の保険か、短期投資回収か――
目的に合わせた出口戦略

より高値で売却する方法

 では、より高く売るための方法を具体的に説明します。

 収益性の物件に関しては、賃料を上げることです。しかし、現実的には空室率が高まっている現在においては、賃料を上げることは容易ではありません。

 よほどお金をかけて物件をきれいに保たなければとお考えになることでしょう。実際、お金をかけなければ賃料を上げるどころか、維持することもできません。

 では、どの程度お金をかければいいのかを具体的に見ていきます。

 例えば、通常50万円で行う原状回復工事を、100万円かけてより丁寧に行うことで賃料が1万円上がるとします。

 この物件が利回り8%で売却できるとすると

1万円×12カ月 ÷ 8% ⇒ 150万円

 150万円高く売れるということです。そして、そのために要したコストは、通常より余計にかけた50万円ですから、差し引き100万円のプラスとなります。これは物件を高く売るための基本的な方法であり、投資するべきかどうかの判断基準となります。

 次に資産価値の物件です。

 資産価値の物件は、買い主は更地を求めていますので、できるだけ更地に近い状態にすることです。

 厳密には、更地価格から更地にするためのコストが減額要因となってしまいます。更地にするためのコストとは、入居者の退去費用や、建物の解体費用が主なものです。そのなかでも、日本の借地借家法においては入居者が強く保護されていますので、退去費用には数百万~1000万円単位など、多額のコストがかかる場合があります。

 コストをかけずに入居者に退去してもらう方法としては、定期借家契約があります。売却することがある程度見えているようであれば、入居者を募集する際に、定期借家契約を結ぶのです。そうすることによって、定期借家の期限が来れば、自動的に退去してもらうことが可能となります。

 通常、賃貸借契約では、オーナーの都合で退去してもらう場合には入居者に引っ越し代を支払わなければなりません。さらには、いつまでも出ていってもらえないというリスクもゼロではありません。これでは、売るに売れなくなってしまいます。

 売却を考える場合には、売却予定の時期に合わせて定期借家契約を早い段階から導入するべきです。

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