オーナー社長のための収益物件活用術 会社の経営安定、個人資産を防衛

第7章事業の保険か、短期投資回収か――
目的に合わせた出口戦略

総合課税と分離課税

 日本の税法は複雑で、その取引主体が法人であれば、他の所得と合算される総合課税となり、その取引主体が個人であれば他の所得と分離され課税される方式となっています。法人で取引を行う場合には、物件の売却利益、損失はその法人の他の所得、損失に合算されます。

 先述したように、例えば物件の売却で利益が出れば、本業の損失と合算することができます。逆に物件の売却によって損失が出るようであれば、本業の利益にぶつけることで利益を圧縮することができます。

 その法人が不動産業でなければ、物件の売却は売上ではなく、固定資産の売却になりますので、特別利益・損失の扱いとなります。

 本業の経営状況に連動させる形で売却を行うことで、経営の安定化が図れます。

 出口をコントロールできることが収益物件の活用の大きなメリットといえます。

 一方、取引主体が個人の場合は、分離課税となります。

 不動産の売却にかかる税金は他の所得と切り離して考えられますので、年収が1億円の人でも500万円の人でも、収益物件の売却益5000万円にかかる税金は一律で1000万円(長期譲渡の場合)です。

 これは、株式の配当や利子所得と同じ考え方です。

 オーナー社長の高額な所得(役員報酬)と合算されることはありません。

 例えば、1億円の所得に収益物件の売却益5000万円が合算されて、合計1億5000万円の所得に対する課税とはならないということです。そのため、個人の所得が高額な人ほど個人所有の不動産の売却は効率が良いといえます。

 そして不動産を保有していた期間によって、売却時にかかる税率が変わってきます。詳細は次項で述べます。

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