オーナー社長のための収益物件活用術 会社の経営安定、個人資産を防衛

第7章事業の保険か、短期投資回収か――
目的に合わせた出口戦略

IRRの考え方―将来のお金より今のお金

 収益物件は売却をもって利益が確定する、と繰り返し述べていますが、その利益は絶対額ともうひとつの指標であるIRRという指標によって示されます。

 IRRは、内部収益率と訳されます。投資に対する収益率を表すもので、要は1年後の1000万円と10年後の1000万円は価値が異なるという考え方です。当然ですが、1年後の1000万円のほうが価値は高いとされます。

 この考え方は当然で、早く資金を得られればその資金を次の投資などで運用することができるからです。

 絶対額としていくらの利益が出たかという考え方とともに、IRRでの利益を把握することで、投資効率を上げることができます。

 1年後に1000万円が入る投資なら、そのお金をさらに運用に回し、利回りを得ていくことも可能です。また投資には回さず、本業の運転資金に充当したりすることも可能です。

 一方、10年後にしか1000万円が入らない投資ではどうでしょう。

 仮に別の投資を行うには、新たな資金が必要で、自己資金や借り入れで賄わなければならず、借り入れには金利も伴います。

 このように、同じ1000万円というリターンが得られる投資でも、そのリターンを手にする時期がいつかによって、優劣が決まってくるのです。

 例として次ページの表をご覧ください。AとBはともに1000万円を投資して、4年間で1110万円を回収できるモデルです。このケースにおいては投資金額および回収金額は同じですが、回収のスピードに違いがあります。Aは2年目で1000万円回収できており、再投資を行うことも可能です。一方Bが1000万円を回収するには、4年目まで待たなくてはなりません。このように、より早く投資回収しているAのほうが投資効率の面で優れているのです。

 本書で紹介してきたように、収益物件は出口戦略を立てやすい、つまり会社や市況の状況に応じて利益を最大化する売却戦略を立てやすいという特徴があります。ちなみに、先述したシミュレーションソフトを活用すれば、IRRの指標も細かく把握することが可能となります。

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