オーナー社長のための収益物件活用術 会社の経営安定、個人資産を防衛

おわりに

 私が会社を立ち上げて9年目になりますが、本書で紹介したようにこれまで多数のオーナー社長に対して収益物件の活用をサポートしてきました。

 その過程で、様々なオーナー社長ともお会いし、事業の悩みなどをお聞きする場面も増えました。

 これまで、私自身や私が経営する会社で行ってきた不動産取引や管理のノウハウ・要諦を一冊にまとめることで、一人でも多くのオーナー社長の皆さんをサポートできないかと考えたのが本書執筆のきっかけでした。日本の企業の99%以上が中小企業です。中小企業のオーナー社長が元気になることで日本全体も元気になるというのが私の信念だからです。

 本書の前半では、オーナー社長を取り巻く環境の厳しさや、それゆえに収益物件という本業以外の収入手段を持つことの有用性を指摘しました。

 本書の中盤、特に第3章には大きな紙幅を割き、「節税装置」としての観点から、収益物件の有用性を紹介しました。巷にある不動産投資関連の書籍などでは、例えば立地や間取り、利回り、管理といった問題には触れられていても、この「節税装置」としての視点は抜けているか、記述が希薄なものが多いと感じます。

 その点、本書の第3章は、オーナー社長にとって最も関心のある内容を事例をもって具体的に記述しました。

 また第4章以降の後半では、物件選び、金融機関の選び方、管理の要諦、出口戦略などについても述べました。それらの内容の一端は拙著『年収1000万円から始める「アパート事業」による資産形成入門』『「利益最大化」を実現するアパート経営の方程式』にも出てくるものです。 ただし、本書では「オーナー社長に向けて」という視点を意識しました。多忙のうえ、本業の行方はいつどうなるかわからない。高所得なので会社や個人の資産の節税にも努めたい。そのためには、所有の目的や出口戦略も人それぞれで、極論すれば出口戦略が年々変わることもある……。そのようなオーナー社長たちのニーズにも応えられるような観点から、取りまとめたつもりです。

 そのため、すでに拙著をお読みいただいていた読者の方にとっても、新たな発見や立体的な理解につなげていただけたのではと思います。

 また最後には、私の会社が関連してきた取引のなかから、実際に収益物件を有効活用されている4名のオーナー社長を仮名としたうえでご紹介しました。掲載を許可していただいたこれらの方々に、この場を借りてお礼を申し述べます。

 昨今、富裕層に向けた増税路線が既定のものとなったばかりか、会社経営の不確実性がますます高まっています。そんななか、オーナー社長は自身や家族だけでなく、多くの従業員や取引先、ひいては社会に対して多大な責任を負っています。

 多難で不透明な時代を生き抜いていかなければならないオーナー社長に、ぜひ収益物件を有効に活用していただき、社業と暮らしの一層の充実に役立てていただければ幸いです。

 最後までお読みいただき誠にありがとうございました。

 今回出版するにあたり幻冬舎メディアコンサルティングの皆様には大変お世話になりました。この場を借りて御礼申し上げます。

平成28年8月
著者

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収益物件,アパート,アパート活用,原価償却

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