オーナー社長のための収益物件活用術 会社の経営安定、個人資産を防衛

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管理と出口

物件活用事例1
7年間で12棟14億円の投資

副収入目的で物件を取得しましたが、次第に節税も意識。複数所有でバランス良く活用しています。

 N 氏が経営する会社は、輸入代理店です。

直近では、本業の売上が20億円、経常利益は2億円で、社員数が30名、自身の役員報酬は1億円です。

 現在のところ本業の業績は好調ですが、N 氏のかねてからの心配は「波のあるビジネス」ということでした。「輸入代理店」という性格上、地勢学リスクや為替リスクが付いてまわります。

 そのような将来に対する漠然とした不安から、収益物件の活用を決意したのでした。

 N 氏がイザというときの副収入を目的として収益物件の活用を開始したのが、平成19年のこと。

 取得にあたっては、本業とは別の資産管理法人を設立し、同法人の名義で物件を取得していきました。

 次第に物件数は増え、現在までにアパート・マンションで11棟、オフィスビル1棟の計12物件を取得。うち、オフィスビルの1棟は、4年間の保有後に売却しています。ちなみに、このときは3000万円の売却益を計上しています。

 当初はイザというときの副収入(キャッシュフロー)を目的とした取り組みでしたが、N 氏個人の1億円という役員報酬の節税目的でも、物件を取得するようになっていきました。

 累進課税の日本では個人や会社の所得が多ければ多いほど税率は高くなります。そのため、N 氏としても、「キャッシュフロー+(個人の)節税」という観点を次第に重視するようになっていったのです。

 現在所有している計11物件のうち、主にキャッシュフロー目的の取得が8件、減価償却を活用した個人の節税目的の取得が3件となっています。なお、個人の節税目的の物件は、個人名義での取得となっています。

 足掛け8年目に入った収益物件の運用は、売却した1件も含めて投資規模では計14億円(現在の保有物件は約12億円)という大掛かりなものになりました。

 現在の運用状況としては、年間賃料収入が約1億1000万円です。減価償却を大きく設定しているため不動産収入に対しての税金はほぼゼロにコントロールされています。そのため税引前キャッシュフローと税引後キャッシュフローがほぼイコールで、年間2300万円となっています。これは手取りで月額約200万円の副収入があることを示しています。

 また、プラスして元金の返済を年間4400万円行っています。これは毎年4400万円「貯蓄」しているのと同じことです。税引後のキャッシュフローと元金返済を合計した年間の投資回収金額は6700万円に上ります。非常に効率の良い運用状況といえます。

 なお投資金額のすべては、地元埼玉県を地盤とする地方銀行と信用金庫からの全額借り入れで調達しています。本業の売上20億円、年間の経常利益2億円という高い収益性などが信用につながったのだと感じます。もちろん、私の会社の紹介も功を奏してか、直近の借入金利は1%を大きく下回っています。

 収益物件の運用開始当初に購入・所有した物件が、経年劣化によって次第に傷んでいきます。今後の課題としては、節税を意識した大規模修繕をうまく計画する(会社や個人の所得が多くなる年度に合わせて行う)ことでしょう。

 同時に、キャッシュフロー重視で長期保有を視野に入れる場合は、退室などに伴う家賃設定の変更やリフォームの計画などにも神経を使っていかなければなりません。

 現状、11棟の収益がうまく回っていることから、仮に1棟、2棟の物件で空室の増加や出火といった事態が起こったとしても、他の物件がカバーしてくれます。

 キャッシュフロー+節税で始めたN 氏の投資は、バランスの取れた収益物件運営として参考になる事例といえそうです。

N氏のプロフィール
会社経営者(N 氏) 50代男性
本業:輸入代理店経営者
所有している収益物件:アパート・マンション11棟
オフィスビル1棟(売却済)
本業売上:20億円
経常利益:2億円
収益物件活用の目的:副収入+節税
社員数:30名
投資額:14億円
役員報酬:1億円
(N氏のキャッシュフロー表 p243)

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