第1章収益物件の利益最大化で
副収入を得ながら節税も実現する
収益物件の価格は
「収益性」と「資産価値(土地値)」で決まる
次に「物件価格推移線」(37ページのA・B・Cの線)について解説します。
損益判定グラフで見たとおり、収益物件で利益を出すポイントは、物件価格が投資回収線を下回らないことです。そのため、投資回収を早く進めることと同時に、物件価格が下がらないことが重要になります。
では、収益物件の価格はそもそもどのような形で決まるのでしょうか。
結論からいえば、収益物件の価格はその「収益性」と「資産価値(土地値)」によって決まります。
物件の収益性とは、その物件から年間いくらの賃料収入が発生し、利回りが何パーセントであれば買う人がいるか、というものです。
ポイントになるのは賃料収入と期待利回り(キャップレート)で、この2つの数字によって物件価格が割り出せます。例えば、年間賃料1000万円を生み出し、利回り10%で買う人がいる場合の物件価格は、
1000万円 ÷ 10% = 1億円
ということになります。
このケースでは、1000万円が基準賃料であり、10%が期待利回りということになります。
次に、資産価値によって価格が決まる場合です。日本の不動産においては、中古の建物はほとんど価値を持ちませんので、物件の資産価値は土地値とほぼイコールになります。
土地値は非常に単純です。坪あたり100万円の土地が100坪あれば、
100万円 × 100坪 = 1億円
ということになります。
収益性と資産価値(土地値)という2つの指標で価格を算出し、高いほうがその物件の価格になります。
例えば、次ページの図のAとBのアパートをご覧ください。
Aは土地代100万円の30坪の土地に、年間1000万円の賃料収入が入るアパートが建っています。
収益性で見ると、利回り10%で買いたい人がいるとして
1000万円 ÷ 10% = 1億円
となります。
一方この物件の資産価値を算出すると
100万円 × 30坪 = 3000万円
となります。
2つの価格を比較すると収益性での評価のほうが高いので、この物件の価格は1億円となります。
次にBのアパートを見てください。土地が広いわりには建物が小さく賃料収入が少ない物件となっています。
収益性で見ると、同じく利回り10%で買いたい人がいれば
500万円 ÷ 10% = 5000万円
となります。この物件が5000万円かというとそうではなく、資産価値を考える必要があります。
この物件の資産価値を算出すると、
100万円 × 100坪 = 1億円
となります。
Aと違って、収益性よりも資産価値のほうが高いので、Bの物件価格は1億円になります。
ここまで計算してみてわかるのは、不動産の価格は土地値(いわゆる更地価格)以下にはならないということです。賃料収入が少ない(利回りが低い)といっても土地値以下にはならないのです。
これは、中古住宅を考えていただければわかりやすいでしょう。築30年、40年とどんなに築年数が古くても、土地値以下の価格になることはないのと同じです。